憂鬱なときは秋猫

役者、環の文章置き場です。

NTLive『フリーバッグ』を、みた。~汝、兎を抱いて眠れ~

シネ・リーブル池袋のNTL祭り、昨日に引き続き『フリーバッグ Fleabag』を観てきました。

下ネタに対抗するべく敢えての綺麗目娘役風ブラウス+スカート+ヒールサンダルで観に行ってみましたが、正解でした。いたたまれないこといたたまれないこと!(たのしい)


この作品は女優フィービー・ウォーラー=ブリッジによる90分間の一人芝居なのですが、なんと劇作も彼女自身によるものです。

そう言えば、2018年にエミー賞を取った時のトロフィーを3つ両腕に抱えた写真(笑い過ぎてプロレスラーの威嚇みたいになってた)が日本版VOGUEのバックナンバーに載っていて、その時「作演両刀ってまぢゴリラ🦍だな(憧)」的なことを思った覚えがあります。

11月公開予定の007の新作の脚本にも関わっているみたいですね。絶対観るわ。

 

『フリーバック』は2013年にエディンバラの演劇祭で初演され、エディンバラドリームを掴み、各地で再演、ウォーラー=ブリッジ自身主演でドラマ化もされています。
私はAmazonプライムビデオでこのドラマ版も履修済み(面白すぎてワンシーズン一晩で観た)なのですが、ドラマ版では登場人物が足されていたり多少話も変わっています。

もちろんネズミ男も姉も出てくるし、何より『女王陛下のお気に入り』で兎女帝を演じていたオリヴィア・コールマン演じる継母(CV.高島雅羅さん!)が優勝しているのでぜひご覧ください(布教)。

 

演劇にはいわゆる“第四の壁”(演劇では客席と舞台の境目のこと)というものがありますが、ドラマ版でのこの取り扱い方が斬新で死んでしまった親友に脳内で語っているという設定になっています(ネタバレのため伏せ字)。

個人的に、もし観るなら舞台→ドラマが最大限に楽しめる順番だと思いました(布教)。

 

そして、”何が”とは言いませんが、比べてみると舞台版は6割パクチー増し夜露死苦といった感じでした。ええ。

男性客みんなガン引いてたと思うけど(いや乗り気でも困るんですが)、すげーわかる。同情する。

 
この舞台の印象を一言で言うと、ありとあらゆるぶっ飛んだ絵文字を添えた『空気人形』(※是枝裕和監督作品、2009年)です。

前述の通り、これは一人芝居で、性欲に支配された女性の独白です。

セットも簡素で、平台の上に置かれた赤い布張りの椅子のみ。演技も全てこの台の上で完結します。

ウォーラー=ブリッジの声や表情や仕草や間を変幻自在に操って繰り広げられるスタンドアップコメディめいた弁を観ていると、段々発情期の兎にすら見えてくるのですが、段々と彼女が自分をコントロールできなくなっていく演技が凄くて、、

サロメみたく下品で痛烈で滑稽な鎧がはがれていって隠された彼女の孤独や混乱が見えた瞬間、思いっきり腹をアイスピックで刺されたような痛嘆に出会うことになります

親友にモルモットを「愛する対象?」ってプレゼントする彼女が、「この若い身体以外何にもない」って処に行きついてしまうのがいっそかなしい。

 

私たちはみんなフリーバッグを痛む胸に抱いて、日々よしよしして、時に潰してしまおうかと思いながら生きているのかもしれません。

あと一瞬カーテンコール遅かったら泣いてたな。なんでこんなメタいので泣けるのかは女の謎。

 

終わった後相当すっきりしてたのか、駅ビルで美味しい(そして少し高い)ハーブティーの茶葉を買いました。

日々己の機嫌を取って生きていきましょうね。ご自愛ご自愛。

 

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2020/08/05 鑑賞。

 

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